RyuIshinuma

レザボア・ドッグスのRyuIshinumaのレビュー・感想・評価

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)
4.4

2013/10/14
2023/01/16

「個性豊かな俳優、仕草・会話・音楽全てが渋くて超クール 鬼才タランティーノ監督の名を世に知らしめた傑作!」
鬼才タランティーノ監督の長編デビュー作で、宝石強盗のために集められた6人の男達の確執を描いた傑作バイオレンスである。物語はレストランに集まったブラックスーツを着た男達がマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の歌詞について語る物語とは全く関係のない会話から始まる。そしてオープニングに使われるジョージ・ベイカーの「リトル・グリーン・バック」の歌とともにブラックスーツの男達が歩くシーンは渋すぎて痺れる男臭さ満点の映画である。そして男の男による男のための映画だと断定してもいい。
学生の頃にこの映画に出会い彼らのような渋さとクールさを兼ね備えた大人になりたいと思ったが、社会人となりスーツを普段から着るようになったが彼らのような渋さ・クールさを身にまとうことができていないことに嫉妬を覚える。クズ男達なのにもの凄い憧れのようなものを抱き、一方で冷静な自分が現れて後頭部を思いっきりど突かれる。その繰り返しである。
僕はタランティーノ映画が好きな理由はくだらない会話と何気ない仕草さえクールに感じさせるところにある。それらが文字ではなく映画体験として自分の中に浸透していくのだろう。僕が写真を撮る時、今まで観てきて数々の映画のワンシーンの蓄積によって無意識化で構図や画角が決めているのだろうと思う。漫画家のレジェンドである手塚治虫は漫画を上達したいなら漫画だけ描いていてはいけない。読書をしたり映画を観たり絵画に触れる中で漫画も上手くなるという言葉を残している。僕にとって写真上達のために映画は必要だ。そしてタランティーノが膨大な数の映画からクールな場面を組み合わせてオリジナルの傑作を作り出したように僕も映画のワンシーンの膨大な数の蓄積から写真を紡ぎ出していきたい。映画はその時間の娯楽だけでなく、あらゆることに活かせる最高の教材であり、今作はそれが思いっきり詰まった鬼才の傑作として見逃してはいけない一本である。
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