ストーリー性を重視したものではなく、一人の成長を淡々とつづった物語。
予告からして結構エグイ人間ドラマなのかと思いきや、優しくて純粋な映像美が物語を引き立てて、一気に集中してみれる映画だった。
普段は淡々と進んでいくオープンエンドな話は好きではないけど、『ムーンライト』は結構好きです。(モヤモヤが残って納得いかないって人もいると思う)
感動した！という感情は前面には出ないけど、ところどころ自然と涙が出てくるような場面があります。
自分の性が原因でいじめられ続けて、母親がドラッグ中毒で気性が荒く自分という殻に閉じこもってしまった主人公。
でもそんな最悪な境遇の中でも、ところどころには光がある。
自分の性を受け入れてくれるたった一人の友達や、あなたの帰ってくるところはここだと言ってくれるフアンやテレサ。
その光がたとえごくわずかなものだとしても、自分の居場所を作ってくれる人が1人でもいれば人は必ず自分を保ち、立派な人間として生きていけると思いました。
母変わりとなったテレサが言った「愛と自信を持つのがこの家のルール」という言葉、父親代わりだったフアンが言った「自分の道は自分で決めろ。他の誰かなんかには決して決めさせるな。」という言葉。
劇中で描かれるのは同性愛ではなく、
シャロンという一人の男の子の純粋な愛の在り方です。
まさにそれが一筋の光の大切さを物語っていると思いました。
どんなに時がたっても、体つきが変わっても、彼なりの愛と、自分らしさだけは変わらない様子が、どの俳優さんにも瞳や目つきの純粋さであらわされていて、素晴らしい作品に出来上がっていたと思います。
