mOjako

スウィート17モンスターのmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

思った以上に痛いし心にグサグサ刺さる作品で。「Superbad」や「Easy A」に連なる新たなティーンエージャームービーの傑作じゃないでしょうか。

とにかく自分の青春時代を思い出しつつ主人公の自意識にがんじがらめになってる一挙手一投足を悶絶しながら観たという感じですね。演じるヘイリー・スタインフェルドが相変わらず素晴らしいんですけど、要はイケメン兄貴を持つ非モテ女子が思春期特有の自己嫌悪、自己憐憫、それからリア充爆発しろ的な怒りでパンパンになりつつ、唯一の癒しだった親友をよりによって兄貴に寝取られ遂にとち狂った行動に出てしまうと。
彼女の行動に爆笑しつつ結構な人にとっては半分自分の鏡でもある訳なのでいたたまれない気持ちになるかと思うんですが、今作のスゴイのは終盤親友も家族も恋も全て失って本当に生きるか死ぬかというギリギリの所までいくんですね。もちろんコメディタッチだから重くはないけど、個人的には結構怖い話だなぁと思って観てました。現実にはこうゆうところからイジメや自殺にも繋がると思ったので。そもそも彼女の不幸はモテないことでも嫌いな兄に親友を奪われた事でもなく、本質的には自分で自分を愛せないという不幸じゃないかなと。親友はあくまでその象徴。学生時代にはヒエラルキーもあるし、あの子みたいに生きたいとか他人との比較でどうしようもなく自己嫌悪に陥ったことがある人もしくは現在進行形で苦しんでる子も沢山いると思う。自意識の檻に閉じ込められる怖さを知ってる人ならきっと主人公に感情移入してしまうはず。

でもこの映画では最後に救いも描かれる。というより主人公は全てを失った事で必然的に成長し少し大人になるんですが、成長がイコール救いであるという風に描かれます。つまりまず思春期の辛さは表現を通じて癒されるというのが1つ。今回はアニメですけどまさしくクライマックスで描かれるアニメでは自意識の檻に閉じ込められた姫宇宙人を救うという話。しかもそれが心底くだらないオチを迎える事で悲劇を笑いに変える力が示されるので自然と元気がでます。まさにこの映画がやろうとしてることですよね。そしてもう1つは主人公は最後に華やかではないけど自分らしく居られる自分の居場所を見つける訳です。大人になってみてある程度折り合いもついた今だから思春期の悩みとか大人になれば本当に大した事なくなるよってゆうのは実感として共感出来る。その為にウディ・ハレルソン演じる一見なんの希望もない様に見えた大人代表である教師が実はファミリーマンで高校生にはわからない本当の幸せを手にしていたという件があると思う。世界は君が思う程悪くないよと同じ悩みを経験した大人が映画を通じてそれを伝えてくれるってのは素晴らしく誠実で意味のある事だなと。思春期真っ只中でこれを見るのは少し辛いかなとも思うけど、こうゆう映画を観た事で救われる人がいたらいいなと思いました。
mOjako

mOjako