RUKA

そうして私たちはプールに金魚を、のRUKAのレビュー・感想・評価

3.6
実話をベースにした短編作品。
埼玉県狭山市、400匹もの金魚が学校のプールに放たれ、犯人は4人の女子中学生。

“女子中学生”、“学校のプール”、“金魚”
このワードを見ただけで私たちは思ってしまう。
なんか、映画っぽ〜い!エモい!青春。
そうだったらいいなという身勝手な自己満のフィルター越しに観たこの作品は、いい感じにそんな人々にカウンターを食らわしてくるとんでもないものでした。

青春に勝手に意味を持たそうとしてるのはいつだって青春の外にいる人たちなんだよなぁ。
あえてMVみたいにギラッギラで荒削りな世界観でみせてきたのに、金魚を放ってからのナレーションがめっちゃ淡々としてて、そこに全部が詰まってると思う。
美しい金魚が見たくてこの映画を観た人、ごめんね。
この一言にぐわぁ〜ときた。

結局私たちが勝手に青春だのなんだの考えてたことに、意味なんてなくて、彼女たちからしたらその時の感情でただやりたくてやっただけなの。
結局暗くて金魚は何も見えなくて、結局次の日事件になって、バレて怒られて停学になった。
結局あれだけ文句を言っても結局私たちはこの街から出ないだろう。
「キレイだと思って」と供述した彼女たちの、本当の理由なんてこんなもん。
青春だなんてこれっぽっちも感じてない。

でも、それでもこの子たちがどうしようもなく青春の塊でキラキラ輝いてて悪態ついてるのも全てが絵になって見えてしまう。
きっとずっともう戻れないこんな青春に憧れて生きるんだろうな、私は。
RUKA

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