リッキースティムボート

MIFUNE:THE LAST SAMURAIのリッキースティムボートのレビュー・感想・評価

MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)
3.5
世界の三船、その生きざまを追う!


日本のみならず、世界の映画界に大きな影響を与えた戦後最大のヒーロー、三船敏郎のドキュメンタリー。船堀映画祭で視聴(香川京子のトークつき!)。

言わずと知れた世界のミフネ、その一生をスティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシなど錚々たる面子が語る内容。

これは三船作品、あるいは黒澤映画をどれだけ観ているかで評価が変わる作品かも。僕は「七人の侍」や「用心棒」あたりを今年スクリーンで観た、三船のフィルモグラフィーすべてに精通しているわけではないレベルでしたが、それでも新鮮な情報はそこまでなかったかな、という印象。つまりは三船、黒澤、時代劇、日本映画それぞれのビギナー向けの作品、という感じに受け取りました。いちいちチャンバラとは〜とか、時代劇とは〜と前半で長々と使ったのは海外の映画っぽいですが、日本人にはややくどいなと。だったら晩年の話をもっと描いてほしかった。

あと語り部がほとんど日本人ですが、話と話の編集や間がすごく気になりました。そこも海外の作品なので、と考えるとそうなのかもしれませんが、序盤は特にそれが気になった次第。

あと、根本的な話ですが、ビギナー向けゆえか、肝心の三船の写真や映像がどれも観たことあるようなものに思えました。「用心棒」のカラー映像などはおっと思いましたが、これもレアなんですかね? まあ要は秘蔵映像てんこ盛りな作品、というよりかは昔のテレビ番組「知ってるつもり?!」かNHK-BSのドキュメンタリーを観させられている感じ。

とはいえ多くの超大物が残した三船へのコメントはどれもバツグンに面白く、とりわけ「蜘蛛巣城」ラストシーンをウキウキで語るスコセッシ、三船の演技を「勇気」と評したスピルバーグの話はグッときました。今なお日本映画史最重要俳優だけに、三船を知らない人こそ観るべき作品なのではないでしょうか。