あんしん

太陽の塔のあんしんのレビュー・感想・評価

太陽の塔(2018年製作の映画)
4.9
西谷修が、中沢新一が、安藤礼二が、赤坂憲雄が、出てる、驚いた。モースにもバタイユにも触れる、岡本太郎を「語る」ならこの二人は外せない。曼荼羅から華厳経へ、華厳経から南方熊楠へ、そして熊楠にとっての粘菌と岡本太郎にとってのアメーバの類似。熊楠から足穂までは伸びてこなかった。中沢新一は華厳経のところでもっと語りたかったんじゃないか、レンマ学のこととか。無碍の話が出てきたしね。そしてチベット仏教のトルマ。あるいは《明日の神話》への落書きが問題になったChim↑Pomも、出る、原子力、原発事故へと話が広がるのもまた当然だ。原子力自体もまた人間が造り出した「太陽」なのだから。菅原小春さんが渋谷駅の《明日の神話》前で踊っている。とてもいい。かろうじて批評家ばかりの会合を免れている。あの絵の前を、「神話」の前を通るのにうつむいてスマホを眺めている場合ではない。まだ《明日の神話》は早い?まだ、早い、などということはない。岡本太郎をダンスするんだよ。踊りを生きる、踊りとして生きるんだよ。ジャスティン・ジェスティーという日本美術研究家は太陽の塔をして、“It also seems so out of place”(字幕:そこにあってはいけないものにも見えるんです)と言っている、それから“out of time”と。わたしには響く。あまりにあれは奇異だよ、恐ろしいよ。何を待っているのか。やはり「人間」を?太陽の塔が供物だという話が出た。過剰なまでの贈与であり横溢、漲り零れるほどの……岡本太郎からのプレゼント、present……。内なる「人間」の目を覚ましてくれる映像だ。そしてまたわたしもひとりの「人間」であるならば当然、なにかを汲み出そうとせずにはいられない。岡本太郎は人間だ。
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