ヨシナガダイスケ

太陽の塔のヨシナガダイスケのレビュー・感想・評価

太陽の塔(2018年製作の映画)
3.2
美しく、知的な映像作品である。
だが、というかだからこそというか、中盤を越えたあたりから、語られれば語られるほど一種異様な存在としての「太陽の塔」の姿は曖昧になり、作者たる岡本太郎自身も時代の思想も人類の歴史すらをも超越していく。
そして、この作品はそんな「○次元の存在」としての太陽の塔を描き出すには、少々言葉足らずであり、同時に饒舌すぎるようでもある。

ほとんどがインタビューと資料で構成されており、太陽の塔そのものの登場頻度が意外なほど少ない点は、鑑賞中にさえ気になるところであった。
ドキュメンタリーというより、美術館の解説ビデオに近い雰囲気である。
テーマに関心がある人は楽しめるが、そうでない人や工学的な解説を期待した人にはやや退屈かもしれない。

語られる解説や思想について議論し始めるとこの場ではとても紙幅が足りないので止めておくが、非常に知的好奇心を満足させる内容であったのは間違いない。
脳に刺激が欲しい方は、是非。