ケンタウロス

太陽の塔のケンタウロスのレビュー・感想・評価

太陽の塔(2018年製作の映画)
4.4
太陽の塔は、いわゆる〝戒め〟みたいな部分はあると思うけれどそれだけじゃないと思う。

芸術作品なのか建造物なのかは知らんけど、初めて実物の太陽の塔を見たときその迫力にずっと動けず眺めていた。得体の知れないパワーがある。その時は純粋に作品を楽しんだって感じだった。いや、ちょっと怖かったけど。

〝太陽の塔が持つ意味〟は時代によって変わっていくだろうみたいなセリフが劇中に出てきて納得する部分はあれど、芸術なんて本質的に意味を持たないと思うから、あの存在感と迫力、爆発力みたいなものは時代が変わっても変わらずに残っていくんだと思う。

作品に無理矢理意味とか正解を持たせるんじゃなくて、見た人がそれぞれ想像力を働かせて、「こういう意味があるんじゃないか?」と思考したり議論したりすることが1番大事な気がする。だからこそ民俗学やら哲学やらに関わってくるんじゃないかという面白い意見も出てくるのかも。俺は詳しくないけどそういう意見があると知ろうとするキッカケにもなる。

多分見る側に考える余地を与えてくれるのが〝太陽の塔〟でもあると思うし、だからこそこの映画も出来たのかなと思った。

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所々に散りばめられていた〝現代〟の映像は陰鬱としていて恐ろしかった。もう引き返せないところまで来ているのかもしれない。でもなんとか抗わないといけないなと思った。

岡本太郎が太陽の塔を自分で削ってる?シーン、目が凄かった。覇気があるというか命かけてやってるのが伝わってきて熱くなった。これが人間やぞ!って感じ。

芸術を高尚なものに仕立て上げて
洒落た部屋に飾って涼しい顔して
眺めるようなやつにはなりたくない。
泥にまみれよう。

明日の神話のシーン
チンポムが作品に書き込みをしたり
ダンサーのひと(名前が分からない)が
作品の前で踊ったりして
自分を表現したり反応したり、
個人が何かを感じることでやっと作品が
生きてくるんだなと思った。
素通りするような人間にはなりたくないと思った。