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立ち去った女のvのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.6
ラヴ・ディアス監督作品を初めて観ました。
3時間48分もの長さ、しかし30年間を刑務所で過ごした無実の主人公が自分を陥れた黒幕である元恋人の元へ復讐に向かうという一本のストーリーに貫かれていて飽きることはない。

私たちは普通、シーンごと短くカットされた映像の繋がりによってその中に物語を見出して、感情を揺さぶられるのだが、『立ち去った女』ではカメラが固定されていた。
その場で起こる出来事をじっと見つめる。動かない映像は退屈であるどころか、「何かをただ長いこと見つめる」ということの快楽の方が大きいような気がした。そして、その心地よさに浸っていると遠くから誰かが近づいてきて何かが起こる。なんてドラマチックなんだろうか!


加えて、主人公が元恋人のロドリゴの周辺をうろついている時に出会う人々が魅力的だった。
モノクロな映像は詩的であり、美しく静けさを持っていて主人公の優しさ、しかし憎しみを抱えていて破壊された人生、破壊された家族の想像もできない苦しさの両面が表れていた。

ここ最近見た映画の中で1番、好きかもしれない
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