映画おじいさん

汚れたミルク/あるセールスマンの告発の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

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史上最も美しいボンドガールとまで言われたマリアム・ダボが主要キャストで出ていてビックリ。巨悪に立ち向かう活動家の役ってのも様になっていた。wikiによると2007年に大病したらしいけど、もっともっと出て欲しい、素晴らしい女優さんになっていました。

結論からえば、衝撃的な内容よりも映画としての出来がイマイチだから欧米で公開されないのではと思ってしまう程度の作品。内容的にリスクがデカい上に、出来が良くなければ公開されなくて当然。
公開が遅れたせいで、最近ブームの内部告発モノの後発みたいみえてしまって、さらにマイナス。

まずは主人公のウェディング直後の様子。映画プロデューサーがそんなことより本題を!と言う(←ここは笑えた)と、事件以前の私を見てもらわないと私のことが(観客に)分からない!と言い返す主人公。しかし、あの様子を見たところで、後に巨悪に立ち向かう彼との関連性が私には全く分からなかった。あの新婚エピソードで言いたいことはなんなのだろう?

主人公の好セールスで金回りが良くなった嫁さんはオシャレに。主人公が無職になってもまだ着飾っている嫁さんに、主人公がたまらず意見する…ここもよく分からなかった。嫁さんの考え方が。

きっかけを作った医師のファイズが「まさかあんなことをするとは思ってなかった」と言うけど、それを一番言いたいのは観客でしょう。ファイズの言ったことの裏をとることなくいきなり辞職って何考えているんだ。ここら辺の主人公の心の動きをもう少し丁寧に描いて欲しかった。いくら実話でもこれはない。手抜き。

ネスレの売ったもん勝ちで後は自己責任というセールスの仕方に当然問題があるんだけど、だったらライバル他社もあるネスレがどうすべきだったのか、これからどう変えていくべきか、が少しも提示されていなかったのもちょっと。

それから、長くなるからあれしますが、ネスレ商品自体に毒が入っていた訳でもなく、水道のせいなら政府が悪いのでは?とか、衛生教育のせいとか……責任が分散しているように思えるから、映画から切迫感が伝わらず、どうしても我々には対岸の火事のように思えてしまう。
重苦しくないサスペンスな展開の語り口はさすがなんですけど、やはり映画としては失敗なのでは。

とにかくマリアム・ダボの近況が知れただけでも観て良かったです。

どのシーンか忘れたけど、正義より平和を選んだ方が良い時もある、みたいなセリフが後になってジワジワきました。