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ゲット・アウトのsakiのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.1
あの家族の、黒人を評価しているというスタンスと、人を人とも思わぬ深層心理、その混在は、表出こそ強烈に歪ませたフィクションながら、なるほど、残酷な現実の一つのメタファーで。

彼等も始まりは、並び立とうとしたのかもしれない。その成れの果て。

白人による黒人の迫害の歴史。黒人の、肉体的優勢を筆頭とする、彼等しか持ち得ぬもの。
そうして露わになる、劣等感と無い物ねだりと、事実とイメージと。


アメリカの差別を彷彿とさせるアイテムやキーワードが織り込まれていたり、伏線回収も巧みで。
何処かB級感も漂わせつつ、楽しめるし、思い馳せる事もできる、映画としてのフットワークの良さが良かった。

顔芸が面白かったり、ぶっ飛んだ展開だったり、何処かユーモアのある怖さの作品だなと思ったら、監督さんはコメディ畑の方だとか。


差別などしないという断言的言動もまた胡散臭さしかないものだよなぁ…それはそれで無理なものなので。
自分の事として想像すると、恐らく、友人や親戚なら気にしないけれど、一親等になるのには戸惑いも生じると思う。上下ではなく異質さとして。
全く同じように見ることなどできない、自分の事も相手の事も分からない、それを認めた上で、ただ、私が私、貴方が貴方である事、そうして横に並ぶ事。その一歩一歩を大切にする事。そんな事を想う。
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