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gifted/ギフテッドのJのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.2
・物語★★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★
・音楽★★★

C.エヴァンスと子役M.グレイスの演技なくして、本作の成功はあり得なかっただろう💯

日常で交わされるごくありふれたセリフの中に、ユーモアのセンスが光る✨

海辺の穏やかな風景🏖や、真っ赤な夕焼けを背に戯れる2人のシルエット🌄など、情緒溢れる映像もいい。

そして特筆すべきは、ストーリー設定。
『I am Sam』や『サウスポー』といった“父と娘の物語”とは異なり、本作で綴られるのは“叔父と姪の物語”。
血縁的な意味においても法的責任の意味においても、実の親子ほどには近しくない存在…
それにも関わらず、実の親子以上に深い絆で結ばれる“フランク”と“メアリー”👨‍👧

意外性に乏しく凡庸で淡々と展開する本作のストーリーは、決して直接的には観客の心を揺さぶらない。
印象的なセリフをもとに観客自身に考えさせることで、間接的に観客の心を揺さぶるのだ💓
鑑賞中よりも鑑賞後、吟味すればするほどに感動の波が押し寄せる😭

本作を“鑑賞したこと”よりもむしろ、“鑑賞後に巡らせた思いや考え”を、ずっと大切に留めておきたい。
そう感じさせてくれるストーリーだった👏👏👏

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(※以下、ネタバレあり⚠️)

一見、類い稀な数学の才能(“gifted”)に恵まれた少女の物語のように思える👧🏼
だがタイトルが意味するのは、限られた者だけに与えられた“天賦の才”ではない。
これは、より普遍的な、多くの人がもつ“かけがえのない人への愛や慈しみ”についての映画なのだと思う。

とりたてて目立った特技や才能の有無に関わらず、我が子の表情や仕草には唯一無二の愛おしさを感じるものだ☺️
だが、そんな「当たり前のこと」が忘れ去られるときがある。
悲しいことに、我が子の特技や才能に気づいた親こそが、最もそのような傾向に陥りがちなのかも知れない。
そう…“英才教育”の名の下に…。

実の子以上に姪メアリー👧🏼を理解し、“特別な”才能ではなく、“普通の”彼女自身を愛情で包んだ叔父フランク👨🏼
彼と対峙したとき、祖母イブリンは、その「当たり前のこと」に気付かされたのだろう👵🏼
天才数学者でありながら自殺をした娘ダイアンが、生前ノートに記した“Yes!”📝の文字。
そこには、無邪気で“普通の”ダイアンの姿があった🧑🏼
今は亡き“普通の”我が子に接したイブリンの流す涙に、魂の震える思いがする…。


果たして自分はどうだろう…😔
一方的な考え方で、我が子を縛ってはいないか…
子どもにやらせていることは、本当に子どもがやりたいことか…
「子どものため」と言いながら、実は「親のため」になってはいないか…


本作で語られる珠玉のセリフの数々は、我々に多くのことを考えさせてくれる。

💬“5分でいいから自分の時間が欲しい”

💬“メアリーが生まれてきたときも、みんながあんな風に喜んだんだよ”

💬“個性が爆発する
それを見るのが楽しみでならない”

💬“こんなにも素敵で優しく賢いメアリー
育て方は間違ってなかった”

💬“我フランクを想う
故に我あり”

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劇場用パンフ★★★
全49ページ。
美しく温かいシーンの数々を掲載した劇中カットがいい。
ギフテッド教育や数学に焦点を当てた対談やコラムも興味深いが、ややマニアック😅
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