だいき

ユリゴコロのだいきのレビュー・感想・評価

ユリゴコロ(2017年製作の映画)
2.1
2017年公開映画117本目。

私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか?

ユリゴコロとは空虚な心を満たすものである。
それか美紗子にとっては殺人だった。
我々とは世界の見え方が違う、異常な人物だから普通に生きていては何も満たされない。
人の死に拠り所を見つけ、恐ろしいこの世界を生き抜くために必要なものだった。
人は喜んだり楽しんだりする回路が備わっていると同時に、怒ったり哀しんだりする回路も備わっている。
誰の心にも芽生える負の感情を、誰もが胸に宿すユリゴコロを描いた作品。

他者を痛めつけることで得られる快感が人にはある。
生まれつき殺人衝動を抱えていなくとも、他者より上へ、他者より優位に立っていたいという気持ちは誰にだってある。
理解不能と思える奴にだって我々と同じ回路が備わっている。
みんな同じ一人の人間。
つまり反対も起こり得るということ。
理解することを放棄しているだけに過ぎないのだ。

人を傷付けることは良くない。
そんなことは誰だって分かっている。
善き感情も悪しき感情も抱いてしまうのが人間。
自分にとってのユリゴコロは何かを認識し、自覚しながら生きていくしか術はないのだろう。
途中で先の展開が分かってしまうし、後半にかけて一気に失速してしまった。
ドラマチックにしたいがためのご都合主義な展開と描写の連続には少し残念。
吉高由里子の演技だけは素晴らしかった。
あなたの優しさには容赦がありませんでした。
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