だいき

アウトレイジ 最終章のだいきのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.5
2018年公開映画121本目。

アウトレイジが帰ってきた。

2018年日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞作品。
2012年公開映画『アウトレイジ ビヨンド』の続編。
サンリオピューロランドより遥かに豊富な強面キャラクターの祭典も最終章。
もう彼らの鳴き声と化した「コノヤロー」、「バカヤロー」が聞けなくなると思うと感慨も一入である。
本作は、前作で存在が仄めかせられた国際的なフィクサー・張(チャン)グループと、前作で日本の最大勢力となった花菱会との抗争を描く。

サービス満点の暴力描写や、本音と建前、そして忖度に満ちた謎ヤクザルールに基づく集団心理戦が本シリーズの見所だった。
一方、今回は非常にクールでかつ、群像劇を少し抑えた大友個人の物語になっているという印象を受けた。
特筆すべきは、「暴力」への引いた視線。
過去二作に比べて新鮮な暴力描写が欠けていることに不満を感じるかもしれない。
しかし、本作は「暴力の世界から脱却」が一つのテーマになっている。
暴力に走ることなく、冷静に事態を集結させる場面が多い。
暴力の世界とはまた異なる新しいヤクザ界の流れを見せてくれた。

詰まるところ、本作は大友が今までのシリーズで生まれたしがらみや罪、恩など全てを消化する物語であり、北野武監督が始めた『アウトレイジ』シリーズを終結させるという二重の意味を持つ。
エンタメ路線に振り切った本シリーズを自らの手で持って終わらせた北野武。
思い残すことなくケジメを付け、やっと安息の時を手に入れた。
北野武滅びの美学に、自らの運命を受け入れた漢の生き様を見た。
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