コーヘイ

ビフォア・アイ・フォールのコーヘイのレビュー・感想・評価

ビフォア・アイ・フォール(2017年製作の映画)
3.9
惰性。嫌いな言葉だ。ドラマ「獣になれない私たち」で根元恒星の台詞にあった。当時の私はまさにそんな仕事をしていたので、痛烈に記憶に残り、このままじゃいけない、なにか変えなくちゃ、変わらなくちゃと、本気で思えた。変化への希求を猛烈に体感し、その期待感が人生に与える幸福を実感した。私にとって惰性でないということは、物事の深みに関心をもつことだった。深み、それは自分の過去と関係がある。人によって大切な映画も、詠う詩も、足を止める絵画もまるで違う。経てきた人生が違うから。そうやって他者とは異なる私だけのものに私だけが耽溺していって、私は私になっていく。きっと、そんな人生が惰性とはまったく違う素敵なものだと信じてる。昨日までの私への敬意を込めて、これからの私は責任もって自己変革を繰り返す。意味なき人生に意味を与える私の試みが、過去の私を救うことに繋がって、その時の出逢った感情すべてに報いる毎日が惰性に抗する私の人生。
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