割と辛辣な前評判ばかり聞いていたので思いの外楽しめた。
きっと自分の子供の頃ならもっと純粋にワクワクしながら観れたろうなって作品。
マダムとドクターにも一応"すべての人が魔法を使えれば、もっと世界は良くなるはず"って動機はあれど、わかりやすく勧善懲悪なストーリー。
でもこの作品はきっとそれで良くて、2人の動機にこれ以上の深みを出してしまえば、その時点で子供より大人受けを優先した作品になってしまったろうなと。
ジブリ作品を観る時はストーリーよりも宮崎駿の世界観を期待しているタイプだったから、元ジブリのスタッフということで、そこを少し期待してた自分としては良質なファンタジーをありがとうという感じ。
辛いことを言えば+αでジブリ作品を踏襲しつつも、ポノック独自の世界観を感じれたら良かったのだけど、そこは薄かった。
足を運ぶ人達のほとんどがジブリを引き合いに出すんだろうし、実際軽くレビューを見てもストーリーが薄いだの、何を伝えたいかわからないだの、ジブリ作品を基準に書かれているだろうなと思う評価がけっこうあって、そこに対してはそもそもそういう意図で作った作品ではないのでは?と疑問も感じる。
でもまあジブリと比較するなって方が無理だし、きっと制作陣もそれは覚悟してるとこなんだろうと思う。
個人的には一番差を感じたのはストーリーよりも映像よりも"音楽"だった。
決して『メアリと魔女の花』の音楽が悪いわけじゃなくて、ジブリ作品の久石譲の凄みを改めて思い知らされた感じ。
最後の魔法を使って家に帰るシーンでかかっていた曲はとても素敵で、全体を良い後味で締め括ってくれたのだけど、それでも劇場を後にしても耳に残る感覚は久石譲が頭何個分も抜けてると思ってしまった。
改めて映画と音楽ってのは蜜月関係なんだなと、そんな木曜の夜でしたm(_ _)m