あずき最中

メアリと魔女の花のあずき最中のレビュー・感想・評価

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
2.4
音楽や映像はとても好きだったのだけれど、内容面で気にかかる部分が多く、このような点数をつけた。

以下、気になった点

①メアリの成長とは...?
不器用ではあるけれど、好奇心旺盛、思いやりがあって、思い切りも良いというところでは主人公らしさに満ちているが、

・自分を変えたい→変えるきっかけになるのは夜間飛行(魔女の花)

・流れに身を任せてしまい、小さな嘘を重ねてしまう。結果、ピーターを危険な目に合わせてしまう。

・ピーター救出時、絶対絶命になるもほうき君が戻ってくる。

・ピーターが魔女の国に残されているにも関わらず、かつて大叔母が住んでいた家を訪れるとそちらに興味が移ってしまう。

・大叔母から花をたくされ、少しだけ魔力が回復(実際は使わないけど)

・ピーターを助けにいく途中、動物たちが手助け
※これはメアリへの恩返しなので、良いとも思う。

・死力を尽くしたほうき君をおいてけぼりにする?
※結果的には復活しているけど、直後にリボンをほどいたりしてたのでそれで修復して共に行くのかなとか期待してしまった。
ほうき君が壊れた直後に髪の毛をほどいたのは、もうごまかしなどせず、等身大の自分で立ち向かうという意思表示だったのかもしれないけれど...。

・終盤のピンチは結局魔法の力を得たピーターによって解決される。
「すべての魔法を消す魔法」を使えば!と機転を効かせてはいるが...。

以上のように、なんやかんやで最初から最後まで魔法や他人頼りになってしまっている感、その場しのぎ感が否めなかった。
もちろん2日程度の物語だからということもあるけれど、メアリができたことは「魔法は私には必要ない」という意思表示だけだったように思う。

②登場人物、舞台背景の曖昧さ
・メアリ...人間よりも、動物やほうきとのやり取りが多いせいか、序盤を除き、感情の動きがぼやけている印象を受ける。①で書いた成長が感じられないというのも、他人との意志疎通場面が少なかったからかもしれない。

蛇足だが、個人的にはポニーテールが似合っていたので、継続してほしかった!

・ピーター...メアリの赤毛をからかった以外は、聖人君子然としていて、つかみどころがなかった。
「お母さんを楽にするためにはやく大人になりたい」と思っているあたりのエピソードを、魔法大学の変身実験ともっと絡めてくれたら良かったな感もあった。

③あの実験の意図とは?
魔女の国とはどんな状況なのか?

明言されていた限りでは、校長は「最強の魔法をみんなが使えるように」と考えていたようだが、それは結果的には何のためなのかがよく分からなかった。
動物実験の件は、実世界での医学、科学の発展における倫理問題と重なりはする。しかし、この作品における動物実験は単なる自分の利益のための実験なのか、社会に不可欠な実験なのかが不明瞭だった。
もし社会に不可欠な実験であるならば、もう少し深みのある物語にできたのでは?と思ってしまう。
あまりにも短絡的にメアリ(善)VS大学(悪)という感じで描かれてしまい、薄っぺらく感じてしまった。

そもそも魔女の国にはどのくらいの人が住んでいるのか? 過去の大事件、火事で衰退してしまったのか?
あの国の思想や文化の面を少しでもいいので描いて欲しかった。

原作は未読なので、もしかすると、既読であればすんなり受け入れられる部分ばかりかもしれないが、消化不良感が残った作品。
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