ragii

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのragiiのレビュー・感想・評価

4.1
前々から気になってた作品

関西で6館でしか公開してない…クソっ!と思いながらやっと観れた

アメリカ人女性で初めてトリプルアクセルを公式試合で成功させ、アメリカから愛され、後にライバルの選手を襲撃させ、オリンピック選考から外させたとしてスケート界を追放されアメリカ中から嫌われたトーニャ・ハーディングを描いた作品。

件の人物トーニャ・ハーディングとその夫であったジェフにインタビューを行い、その双方の意見の食い違いを含めて脚本して、それをラースと、その彼女のグレイグ・ガレスピー監督が絶妙なバランスで作品に仕上げてます。

登場人物達の異なる主張を描くことで、真実とは何か、それぞれに真実があることを皮肉りながら、コメディ要素と演者の怪演で悲劇的な所だけに目をいかさず、描いてる秀逸さは見事の一言!! 主演(プロデュースも)のマーゴット・ロビーは特集効果はもちろんあるものの、特訓で、本物のスケーターにしか見えないスケーティング技術と複雑な感情のトーニャを、夫のジェフをキャプテン・アメリカシリーズのウィンターソルジャーことバッキーを演じたセバスチャン・スタンが典型的なDV男なんだけど何者でも無い平凡でダメな人間である自分の夢をトーニャに投影させる人間臭い人物を、そして、トーニャの母親を演じるアリソン・ジャニーがスゴイ!!人間ってこんな冷たい目ができるの?ってぐらい乾いて濁った目で圧倒的な存在感を出してます。
(アカデミー賞、英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞で助演女優賞を受賞)

これが実話?って驚かされるぐらいおバカで笑わせてもらえる部分と登場人物達の最低なんだけど人間臭い人物像、意見の食い違いをそのまま脚本化した手腕、演者の見事な演技と文句無しに面白い作品だった!
ragii

ragii