カナグ

ディープブルー・ライジングのカナグのレビュー・感想・評価

2.3
アルバトロス×アサイラムの最強(笑)タッグ、再び。

北極海の氷上に建設された海洋調査基地”オアシス”。北極で研究をする科学者たちは異変を感知し調査に出るが、突然変異したサメの大群に襲われる。厚い氷をも破壊する脅威的なサメに彼らはどう立ち向かうのか。


ここまでのあらすじに違和感がありまくりであるかと思いきや、意外とそうでもない。北極の海で大暴れするのはニシオンデンザメという3メートル程の大きさの深海に棲むサメくんだ。でも北極にいるのか?の素直な意見に対して国立極地研究所が公式ウェブサイトにて親切に答えてくれている。

──サメは暖かい海に多く、極地の寒い海にはほとんどいません。ただし、ニシオンデンザメという種だけは例外的に北極海に住んでいます。
https://www.nipr.ac.jp/science-museum/qa/ikimono.html

へえ。アサイラムのスタッフ、ちゃんと調べてから制作したんだと感心してしまった。いつもおかしいやつばかりなのに……やるじゃん。しかし恒例の巨大化(それにしてはしょぼくて違う見た目をしているが)、異様なまでの執拗さ、何故か向上する知性。やはりいつものサメ映画だった。
邦題では超有名大作映画『ディープ・ブルー』の名前を堂々と拝借したにも関わらず、平々凡々どころか酷い出来栄えである。加えて『ライジング』と付いている癖に真新しいポイントは皆無。基地を海底に沈め、突然変異したサメによって襲われ、強化ガラスを破られ、電流で撃退する……ほぼ同じじゃないか。丸パクリもほどほどにしてほしい。オマージュと呼べるレベルではない。レニー・ハーリンに謝れ。
しかし同じ展開をしているのに全く面白くないのは何故だろうか。要らないスノーモービルのカットを9割削って、例え酷いCGだとしてもその分サメに回してほしい。緊張感も緊迫感もなければ、いつ襲われるか分からない恐怖感もない。ちなみに当然だが、背ビレでは北極の分厚い氷(平均して3〜4メートル)は砕けない。南極じゃあるまいし。もしかして温暖化について物申すタイプの映画を作りたかったのか?

サメ映画を見ている以上、演技力は求めていない。こちらは人がいかに凄惨に捕食されるかどうかが大切なのだ。それなのにこのザマである。何より、主人公が全く役に立たないところが1番駄目だ。序盤に襲われ、ヒロインに助けられる。果敢にもサメを倒すために海中へ作戦を実行しに行く訳でもなく、アイデアを言うだけ言ってヒロインとイチャついているだけ。それなら体を張って撃退してくれたマイケルが主人公の方がよっぽど魅力的な作品になったはずなのにと思わずにはいられない。
今作より酷い出来のものは多くあるが、失礼ながら個人的に気に食わないため評価をつけるなら上記のスコアといった所だろうか。今度作るときは脚本ちゃんと練ってからにしろ!そしてネットのレビュー見ろ!以上!
カナグ

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