Yuri

三度目の殺人のYuriのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.6
咲江の「誰を裁くのかは誰が決めるの?」という台詞が印象的。

なぜ30年前に自分に判決を下した裁判長に葉書を送ったのか問われた三隅が「人の命を自由にできる」と答えたところも、この映画での大事なキーなのだと思う。

それまで全く関わりのなかった人に突然自分の人生や命を裁かれる。それが当たり前となっているが、本当にそれで良いのか。あの裁判の中で真実と向き合った人は居たのか。
裁判は真実よりも勝敗だったり、目先の利益に目が行きがちなことは他の映画やドラマでも描かれている。そういったことを踏まえると、きちんと真実と向き合わずにいる人に裁かれるのはおかしな話であり、それこそが殺人ということだろうか?(この映画のタイトルが由来するところなのか)

話が難しくて、感想も上手く言葉が纏まらないが、あくまで私の解釈だが、簡単に言うと「罪を犯した人を裁く時に、きちんと真実と向き合えない向き合わない知らない人が裁くことはおかしな事で、それこそ罪なのではないか」ということなのだと私は解釈した。

裁判の場は真実と向き合っていない、それを三隅は知っていたからこそ、わざと話を二転三転させたのではないかと思う。咲江が裁判の後、本当に真実を見てくれないんだ。みたいなことを言ったのは、三隅から裁判はそういうものだと聞かされていたからではないかと思った。もし三隅がわざと話を二転三転させることで、真実と向き合わせようとしていたのなら、それは結局上手くいかずに終わったことになってしまったという結末なのかもしれない。私の憶測なので分からないけれど。
難しい話であり、とても深く、考えさせられる作品だった。
Yuri

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