ZaieDansLeMetro

三度目の殺人のZaieDansLeMetroのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.5
この映画を見て、真実にはいったい何の意味があるのだろうという気持ちにさせられました。
かなり気持ちが混乱する映画です。
私はこれまで事実と真実について深く考えることなく、2つの言葉は漠然とイコールのイメージを持っていた。
だけどこの映画を見て事実とは現実に起こった事象で、真実とはその事実に関わった人の数だけ生まれるものなのだということを痛感した。
現実のニュースで見る陰惨な事件は加害者と被害者という決定的な言葉から、推測の域を出ない。
現実に起こった事件の加害者が、この映画で二度の強盗殺人をはたらいた三隅のような空っぽの器のような人間であったなら。
もし裁判員裁判で自分がそのような人間を裁く立場になったとしたら。
この映画では司法によって人を裁く理不尽さも描かれていて、真実を操作される怖さも感じました。
そして裁かれる側は、事実を知る人間の数だけある真実を否が応でも当てはめられる器になるということを。
自分が信じる真実は他者が持つ真実とは異なる可能性があるということ。
映画に出てくる若手弁護士の川島のように貫きたい正義が、その同僚の摂津のように裁判に勝つという目的がある人間の方が真実は明瞭になるのかもしれない。
もしたった1つの真実を見い出さなければならなくなったとき、いったい私の目はどんな真実を映し出すのだろう。
ZaieDansLeMetro

ZaieDansLeMetro