「人は人を裁けるのか」
真実が何かわからないまま裁かなければならない。
法廷ってなんなんだろ。
役所広司さんに三隅の心の空虚さを求めているせいで、過去の殺人、今回の殺人、共に重さがあまり感じられなかったのが残念。
観賞後に様々な人の思いを咀嚼できるところは是枝監督ぽくて好きでした。
◆2度目の殺人について◆
咲江は実父から強姦を受けており、次第に咲江は三隅に理想の父親像を重ね合わせていきます。
三隅もまた、咲江に自分の娘の姿を重ねていきます。
咲江は足が不自由な理由に嘘をついている事から、他人からの同情を極度に嫌っています。つまり、彼女は自身の胸の中に秘めた闇を表には表せず、見て見ぬふりをしている母親を見て育った分、社会や大人たちにかなり強い不信感を募らせています。
咲江は図書館で北大の赤本で勉強していました。
高校卒業後の進路は親元を離れる決心を決めていて、その先は三隅の故郷である北海道。
彼の極刑を回避する為、一度は実父から受けたレイプ被害を告白しようとした咲江が押し黙ったのは、三隅の思惑を察した彼女なりの愛情。
また咲江が自分の父親の真実を三隅に打ち明けた日に書かれた手紙からは、謝罪と犯行の決意が読み取れます。
この事実から、犯行は三隅の単独行動なんじゃないかと私は思いました🤔
『万引き家族』でも描いていた"社会から見えない人達の闇"。是枝監督は上手に描きますね。