アンタレス

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたのアンタレスのレビュー・感想・評価

4.0
2013年、ボストンマラソン。爆破テロの舞台となったこの場所に、偶然居合わせたジェフ・ボウマン。両足を失いながらも一命を取りとめた彼は、テロリストの確保に大きく貢献し一躍ヒーローになった。
『ボストンよ、強くあれ』のスローガンの象徴として讃えられるが、ジェフは次第に期待に応えることを苦痛と感じるようになっていく。
過酷なリハビリ、苦痛、事件のトラウマ、周囲の期待、彼女とのすれ違い。様々な重圧に耐えられず、ジェフは完全に潰されてしまう。


完成度の高い脚本に加え、主演のジェイク・ギレンホールの演技が素晴らしいのでそれだけでも一見の価値がある。
ストーリーが進行するに連れ、感情を圧し殺してゆくギレンホールの表情は観ているこちらも苦しくなってくる。
しかし、環境の一変したジェフに対しての接し方が分からない、というのは理解できるが、いくら何でも親が彼への配慮を微塵もしていないのは如何なものか。酒に酔って自分勝手に振舞い、挙げ句その口で「息子のために」などと言ったところで、嫌悪感しか湧かないのだが。その周囲の人間に対するストレスも相まってジェフへの感情移入はしやすかったと思う。
全体的に素晴らしい作品であり、劇場で観れて良かったと思えるような傑作だったと思う。
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