toumei

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのtoumeiのレビュー・感想・評価

4.5
私が「映画」と言われて想像するのはこういうものだし、私が「映画」に期待しているのはこういうことだな。とわかった。

死んだ後の未練がもしゴーストとして残るのなら、人間の根幹って、誰かや何かを愛したり、愛されたりすることなんだと思う。綺麗事じゃなく本当に。

シンプルだけどとても良かった。
ずっと観たくて楽しみにしていたのでハードルはかなり上げていたにもかかわらず、期待を裏切らずとても好きな映画だった。

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(以下ネタバレ含む)
・パイを食べる長い長いシーン、泣けた。最初はナイフで丁寧に切ってフォークで食べていたのに、だんだん座りこんで手でガツガツ食べ、そして吐く。その気持ち、わかる。傍にただ立って見ているだけの、でもずっと見続けているゴーストの姿に途中で気づいて、胸が詰まって涙がぼろぼろ出た。
・最後はグッドエンドともバッドエンドともとれて、いいなと思った。何が書かれていたんだろう。途方もない長い間生きて(?)きて、消える時はシュンッて本当に一瞬で、その一瞬に言語化できない ああ、という気持ちを持った。
・おっさんの話が長すぎたのだけちょっとマイナス。

・人は何か生きた証を残そうとするけど、人はみな死に、その人の記憶や片鱗を持っていてくれる子どもや知人もいずれ死に、そのうち地球もすべて消える。
そしたら、1人の人間が生きている時間ってゴーストの時間感覚のように本当に一瞬だし、意味もないし、なんなんだろうと思った。
そして、たぶんなんでもないんだと思った。
私たちの命は些細で、なんでもなくて、無意味だ。でも同時に、かけがえがなくて、長い時間をかけて執着できるほど大切なものだ。
じゃあこれからどうやって生きていこうか、と思うと、やはり愛は欲しいと思ってしまうかもしれない。
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