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トルチュ島の遭難者のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

トルチュ島の遭難者(1976年製作の映画)
5.0
【令和初映画!トラベルジャンキー必見!過酷すぎるツアー】
トラベルジャンキーなブンブンにとってメチャクチャ刺さる作品でした。やはりジャック・ロジエ最高です。本作は、トリッキーな旅行プランを企画する代理店が舞台です。エージェントのジャン=アルチュール・ボナヴァンチュール(ピエール・リシャール)は忙しなく、カウンターで顧客のニーズにあったプランを提示する。いきなりお客さんが「コンキスタドール(征服者)のツアーに行きたい」と言い出しても、すぐさま御目に適うプランを提示するのがこの旅行代理店の強みです。そんな代理店で、ロビンソン・クルーソー体験ツアーが企画されます。ロビンソン・クルーソーのように無人島で気ままに暮らす企画を催行しようとなるのだ。日本の予定をギチギチに詰め込みリア充を目指すバカンスとは違い、フランスでは文明から離れた自然あふれる空間で何もせず生活するのが粋。それにしたって、見る限り過酷そうなツアーだ。しかし、ちゃんと人は付いてくる。ヒッピーそうな人が。

こうして企画が催行されるのだが、添乗員のおっさん二人はとにかくてんやわんやです。バスに乗客を詰め込み移動すると、途中から黒人集団が乗り込んできてわちゃわちゃお祭り騒ぎとなる。客とは別れ、先に島に上陸し、荷物を運び出そうとするのだが、崖からすってんころりん荷物が落ちてしまう。中々思い通りに行かない道中に段々とジャン=アルチュール・ボナヴァンチュールは苛立ってくるのだが、相棒グロ=ノノ(モーリス・リッシュ)も参加者ものほほんとしている。「サイコーだぜぇーーウォーーー」と完全にハイになっているのです。

ブンブン、定期的に海外に旅をし、未曾有の台風に襲われたり、砂塵が舞い散る街を行脚したり、真夜中のイスタンブール空港で4時間も滞在しないといけなかったりで毎回過酷なだけに、この滑稽な旅が超絶面白かった。そして、旅行なんて予測できないことばかりなので、それを楽しんで、有り余る時間を有意義に過ごしていく参加者に癒されました。これは、夏のビーチでだらだらと流し、ハンモックに揺られ、ビールを嗜みながら観るのにぴったり最強のバカンス映画でした。

社会人になり、長期休暇が愛おしくなったブンブンにとって、バカンス映画は最高のアーユルヴェーダですね。
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