イチロー51

羅生門のイチロー51のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.8
「過去作品・再鑑賞」
芥川龍之介の小説「藪の中」を黒澤監督が映画化した時代劇。
原作:芥川龍之介
監督、脚本:黒澤明
出演:三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎ほか。

1950年当時、国内では大ヒットとはなならなかったが、黒澤監督の芸術的な感性が認められ、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞、アカデミー賞名誉賞を受賞。国際的な評価を確立しました。

そして、本作で世界の黒澤、世界の三船と言われるようになったようです。
しかし、この映画が世界に衝撃を与えたのは、まずそのストーリーの意外性があったからです。つまり芥川龍之介も世界的に評価されるべきですよね!

物語は単純なのですが、私のような凡人には難し過ぎるテーマです。
物語は三軸回想構成で進んでいきます。
現場での争い、裁判、裁判後の葛藤。

妻の目の前で夫が山賊に殺されてしまった。単純な昔話を芥川龍之介が複雑な「裁判劇」にしています。

芥川は、”人は命よりも名誉やプライドを大事にする滑稽な生き物だ” と言いたかったのではないでしょうか?
つまり、人間の根底に有る心理模様を描いたサスペンス映画なのでしょう。

無駄を省いた演出、ストーリーの簡潔さ、鬼気迫る役者人の迫真の演技、意外な法廷サスペンス的な内容。壮大なヒューマニズムを1950年に見事に描いています。

再鑑賞でしたが、2回鑑賞してレビューを書いた次第です。

余談話
1980年代、夜にレストランでアルバイトをしていた頃、三船敏郎一家が訪れ、バイトの私にとても優しい言葉を掛けて貰った事を覚えています。
その時居た幼い女の子が、三船美佳さんだったのでしょう。