・ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した黒澤明の出世作。Wikipediaで授賞式の際のエピソードを読んだが笑ってしまった。敗戦から僅か5年でのこの受賞が日本人に与えた影響の大きさも推察された。
・藪の中が原作とは知っていたが、原作から加えた部分こそがこの作品の真骨頂だと思う。人間の愚かさがこれでもかと表出していたが、その情けなさの中の最後に僅かに希望が残っているようなエンディングだった。
・昔の日本映画のように冗長なエンドロールがなく気持ちよく終わるところもいいものである。
・京マチ子の美しさはちょっと日本人離れしている。
・三船敏郎の演技も、志村喬の演技も凄まじい
・カットや構図が見応えがある。赤ひげにも使われていた特に目だけに光を当てる撮影技法。
・最後の赤ん坊の産衣のやりとりは原作の羅生門からもとってきていたようだ。
・あまりにも月並みな言葉だが、人を信じることは難しいからこそ尊いのだろう。