ターミガン

劇場版 マジンガーZ / INFINITYのターミガンのレビュー・感想・評価

2.9
素直に原作アニメの10年後のストーリーとして見るか、マジンガーZの冠とフォーマットを借りた新しいマジンガーアニメと見るか、その辺りが自分の中では踏ん切りがつかないまま見終えてしまった。
本来なら先にマジンガーZ名義で映画2本くらいやってから、3作目にするような内容をいきなり採用してしまってはいないだろうか。

原作から10年後のお話だから、パラレルとは違う事なのは確か。
だけどせっかくの続編なら、おっちょこちょいで向こう見ずな“甲児くん”っぽさを残しといてほしかったかも。
いくらワトソン研究所へ留学済だからって20代半ばの兜甲児がそんな学者然とした専門用語スラスラ喋ったり、さやかさんがアフロダイAにもダイアナンAにも乗らなかったり、何かコレジャナイ感があって。あんま変わってないのボスだけ。OPは水木一郎の新録でひと安心。

機械獣のデザインは昔よりカッコイイし、画面狭しと暴れまわるのは良かったが、マジンガー達にはスジ彫りみたいなデザインは不要だと思う。
マジンガーや機械獣の関節の音?超合金が軋む音?は変わってなくて、聞き慣れた効果音のままだったのが心地良かった。

必殺技も妙な改変せず出し惜しみなく見せてくれるけど、それに至るまでが長い!マジンガーの世界観に似つかわしくない女の子(リサ)の登場とドラマ展開で、パイルダー・オンまで待ちくたびれた。
あと何より、インフィニティの扱いがもったいないと思うのは自分だけだろうか?
わざわざ副題にまで入れてあの規格外のスケールなのにカッコイイ所がてんで無かったような気がする。

これだけ書いて、一時代を築いた作品の続編が如何に難しいことなのかというのも改めて考えさせられている。なにせ1972年のジャンプ漫画だし、それの焼き増しみたいな事を映画化しても意味が無いってことはおそらく作者自身が1番自覚してるだろうし。どうやったら現代に沿うマジンガーの世界観を構築できるかの最適解を絞り出すのは一筋縄ではいかなかったと思う。しかし、今作の脚本や演出のように唐突が大半を占めてくるとちょっと鳩が豆鉄砲くらった感じにもなるので星は辛めで。
マジンガールズのコスチュームと地球のエネルギー問題に考えを向けさせるくだりは良かったかな。