ニシヒロシ

私は絶対許さないのニシヒロシのレビュー・感想・評価

私は絶対許さない(2018年製作の映画)
3.9
元日、雪深い田舎町。15歳の葉子が5人の男に輪姦される場面から物語は始まる。
眼鏡を飛ばされ、視界を奪われたまま進行する主観映像。レイプシーンの“音”が生々しい。

フルカワ、キムラ、ヌマシタ、マサアキ、サイタ。

葉子が作中幾度となく読み上げる5人の名前は、なんとこのレイプ犯の実名だという。そして原作者の雪村葉子さんは、犯人の実名を出すことを条件に映画化を承諾したとのこと。実際に起きた事件を映画化した作品は数あれど、 自らの半生を映画化することで犯人に復讐した例は他に無いのでは?

そのレイプ犯以上に酷かったのが、命からがら帰宅した娘を罵倒した肉親たち。いやいやあり得ないでしょこの対応。冬休みが明け学校へ行くと、レイプされたことが知れ渡ってしまい、嘲笑といじめの対象に。最悪すぎてヘドが出るが、これが日本の田舎の現実なのか。

15にして行き場をなくした葉子は、その後どんどん堕ちていく。歳を重ねるごとに透明感が失われていく様子が心に痛い。

メガホンを取った和田秀樹氏は精神科医で、これが初監督作品とのこと。それでここまでのクオリティとリアリティのある映画が取れるとは、すごいと思った。