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バトル・オブ・ザ・セクシーズのkidsのレビュー・感想・評価

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これもまた、いまの時代に出るべくして出たポップ作。1973年当時テニス界の女王であったビリー・ジーン・キングが、元世界チャンプのボビー・リッグスと前代未聞の男女対決を行った実話を基にしており、つまりフェミニズム再考の一本として数えられる。興味深いのは、「男性至上主義のブタ」を自称するリッグスを面倒だが憎めないオヤジとして描いているところ。彼を演じる芸達者なスティーヴ・カレルが最高にチャーミングだ。つまり、本当の敵はリッグスではなく、女子の賞金を男子の8分の1としても当然だと思っている男権的な組織のオヤジたちである……ということだ。ビリー・ジーンはそうした構造自体と闘ったのだ。また、のちにレズビアンをカミングアウトする彼女のセクシュアリティの発見を繊細に描いている点も現代的で、エマ・ストーンの丁寧な役作りにも好感が持てる。余談だが、今年のNYプライド・パレードにおいて、ビリー・ジーン・キングが現代の銃規制運動のシンボルとなっているエマ・ゴンザレスと並んで笑顔を見せている姿はなんとも感慨深いものがあった。
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