風来坊

ザ・レイジ 果てしなき怒りの風来坊のレビュー・感想・評価

3.0
印象的なオープニングクレジットが象徴するように、バイオレンス映画でありながら映像にこだわりを感じられる作品。少し暗い映像に原色を押し出した映像を多用していてそこまで洗練されてはいないが、レフン監督の映画「ドライヴ」を意識したのかなと感じてしまう。綺麗な映像の中に血生臭いシーンが入るが淡々としている感じも似ています。

話の大筋はマフィアの内輪揉めでそこに足を洗った男や兄弟の絆等で味付けし感じ。ストーリー自体はそれほど新しさはないですが、重厚な雰囲気と独特な映像で見せる感じですね。
スペインの刑務所制度って特殊なんですね…勉強になりました。主人公のトロが彼女のために必死で足を洗おうともがく感じとそれをさせないロペスのクソ野郎ぶりとボスのクソ野郎ぶりとのバランスが上手く取れていたなと思います。

ナタやじいさんの「タクシードライバー」の手に着けるレールみたいなやつだったり小道具も印象的です。アクションシーンは特にカーチェイスシーンが緊迫感があり迫力があって良い。この時に流れる音楽も焦燥感を煽る感じで良い感じ。後半は展開が飛び過ぎのような感じもするが、クライマックスの戦いは捨て身感がありまさに怒りという感じで見応えがありました。

ストーリーというかサブストーリーに肉付けが足りない気はする…。マフィアのボスと親子のような関係だったというがその辺の説明が無くどんなに蜜月だったか分からない。硬派な感じだったのに核が占いというくだらない理由なのはテンションが下がる。グロい描写もあるので苦手な人は注意が必要。

確かに粗を探したらキリがない映画で何処かで観たような映画でもあり、ストーリーどうこうより雰囲気映画で地味なバイオレンス映画ですが個人的には悪くなかったなと思います。
風来坊

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