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最高に素晴らしいことのBlueMoonのレビュー・感想・評価

最高に素晴らしいこと(2020年製作の映画)
4.1
あああ、、、美しく、悲しい、けど美しい映画だった…
心に闇を抱える人の気持ちを引き上げるには勇気と力が必要で…
自分の悲しみを表に出せない、人に伝えられない、それも苦しみのひとつであって、それをほぐすには、相手へを理解し受け入れる気持ちが欠かせない。同じような境遇に置かれている人だからこそ、理解されにくい、本人も理解されると思っていないその苦しみに踏み込んでいく思いやりと熱い気持ちを持っていたのかもしれない。
半ば強引に誘いをかけながら、自分の大切なものをシェアして彼女の苦しみを解放していったフィンチ。彼とヴァイオレットが日々の喜びを共有し、笑顔に染まっていく様子は本当にキラキラとしていて…
町のなんでもない、いってしまうとダサい場所がbright placesに変わっていく過程は、人との関わりや生きることの喜びを描き出すかのようで。人が生きていく時に必要なのは、愛や手触りのある、こうした場所や思い出を増やしていくことなのかと思いました。

ただ、そんなフィンチも今度は自分の中に闇が広がりつつあるのを自覚しながら、自らを引き上げることはできず…
エンドロールに掲げられている言葉からも、精神に辛さを抱える人々に対して力になろうという志向を持った映画であることは読み取れます。光と闇をどちらも示し、それでも二つ目の大きな悲しみをくぐり抜けたヴァイオレットの笑顔を見せることは、精神的な辛さを抱える人々に可能な限り誠実に、寄り添おうとした結果であるのでしょう。
単にエンタメとして観るよりも、そうした文脈で観ていろんな人の意見を聞いてみたいなという気持ちがあります。

調べてみると、ブレット・ヘイリー監督は『ハーツ・ビート・ラウド』でも監督・脚本を務めていた方のようで。そちらは未見ですが既にclipしていたのもあって、今後動向を気にしていこうと思います。
メガネのエルの破壊力は素晴らしかったです。
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