Kenta

マザー!のKentaのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
3.5
日本で公開中止になったとんでもない問題作。
不条理なことばかりで、ただただ胸糞が悪くストレスが溜まるだけの2時間。あの鬼才であるダーレン・アロノフスキー作品だけあって難解なものになっている。

平穏な日々を過ごす、一人の女性とその夫。夫の職業は詩人であるが、長期間のスランプに陥っており、そんな彼を主人公の女性は、妻として支えていた。
ある日、その夫婦の家に見ず知らずの男性が突如現れる。話を聞くところ、どうやら泊まる場所がないそうだ。妻は納得しなかったが、夫は当たり前のように快く男性を迎え入れる。その男性を家に招いたことにより、この夫婦の日常が平穏ではなくなっていくのだった…。



🚨がっつりネタバレ含みますのでご了承願います🚨



難しすぎる。ただ、様々な方の解説を読めばある程度理解はできた。
キリスト教が絡んでるのは、ストーリーの進行に連れて気づくところがいくつかあったが、まさかすべてが"聖書"に基づいてるものだとは…。"聖書"関係の作品は、頭を悩ますから疲れるんです…😅

今作、言われてみれば、キャラクター個人個人に名前がない。主人公、旦那、中年男性や女性に大衆。つまりすべてがメタファー。そして、舞台の屋敷がこの世そのものを示してるなんて、鑑賞時は知る由もなかった。

旧約聖書からの新約聖書への展開。
今作の面白いところは、先述した通り、舞台の屋敷は"この世"。そして、夫は"神"である。序盤を通して、アダムとイブの出会いから"エデンの園の禁断の果実"までも描かれている。
さらに、しっかりとアダムとイブの息子であるカインとアベルも表現されている。
後半には、夫婦は子供を授かる。これは、夫である"神"と妻である"地球"から創造されたもの。つまり、"イエス・キリスト"を表している。
ただ、"イエス・キリスト"を象徴する夫婦の子供は、大衆によって殺害される。そして、屋敷ごと爆破する。これはおそらく、世界の終わりを象徴してるのでは…?
燃え上がる中で無傷の旦那は妻を救う。きっとそれは"神"であるからであろう。
そして、旦那は妻の心臓から新たなダイヤモンドを取り出す。つまり、"神"は再び世界を創造する。

そして、今作面白いのが、これが円環構造になっているということ。
今作の始まり方は、正直意味深でありかつ意味不明なところがあった。それが、ここで繋がるのだ。面白すぎる…。
ダーレン・アロノフスキー監督は、今作を通して今のこの世の中を風刺し、何か問題提起をしているように思える。

賛否両論あるため、好き嫌いははっきり分かれると思う。個人的には好き。
様々な方が解説しているため、解説も含めて見るのを勧める。何もなしだと気づけないことが多すぎるはず。聖書に詳しければ、今作の面白さは倍増すると思う。
Kenta

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