KY

この世に私の居場所なんてないのKYのレビュー・感想・評価

3.6
Netflix映画。2017年サンダンス映画祭審査員グランプリ作品。

看護助手で平凡な女性ルースは、ある日ひとりで暮らす一軒家に空き巣が入られる。すぐに通報したものの刑事がまともに捜査してくれなかった為、業を煮やし自ら犯人探しに乗り出すが…。

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『乙女の祈り』のメラニー・リンスキーが演じるヒロインのキャラクターが面白い。40歳手前なのに未成年程度にしか人生経験がなさそうに見える。演技としても見た目としても。これって今作を見る際、結構重要だ。

若い設定だと思春期特有のメンタル程度にしか描けないし、可愛くても説得力がない。ある程度年を重ねて人生詰んでると見えるキャラクターだからこそ重みが出ると思うし、それが表現できてた。

それにしてもこれがサンダンス映画祭で評価されるあたり、40歳手前で孤独な女性像って全世界共通で描くべきモチーフなのだろうか。やはり『SNSで自分をごまかして40歳手前、気がついたら孤独だった』という人が多いのだろうか。

ストーリーとしては『世界に嫌気がさしていた主人公が能動的に人生を切り開こうと小さなところから動き出すけど、世界の悪意によってエグい自体に巻き込まれる』といった内容で、その展開の破天荒さがウリだ。

それが良くも悪くもで後半次々と巻き込まれる予想外の展開で驚かせるために、前半がとことん平凡で退屈にならざるを得ないのが辛かった。

あと後半の展開に関して、ヒロイン以外の登場人物の描写がもっと欲しかったかも。展開に驚かされる反面、飛躍しすぎてて没入しづらかった。

平凡な主人公が大きな事態に巻き込まれる作品と言えば『ブレイキングバッド』が思い浮かぶけど、あの作品の様にそれぞれの登場人物の思惑の玉突きでこそ真の意味での予想外の展開にならない気がした。
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