藤

Ryuichi Sakamoto: CODAの藤のレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)
5.0

──音楽であるかどうかは、もうどうでもいいことなのかもしれない。

坂本龍一本人がどこかのインタビューで漏らしていた言葉。S/N(sound/noise)の二項対立など無くして仕舞えばいい。この思想がそのまま『async』に流れ込み、あの「自然が調律した」ピアノを弾かせたのか、とわかったような気がした。

元来、民俗音楽に造詣の深い坂本にとってはむしろ自然な流れかも知れない。
ただ彼の民主主義への考え方には賛同できないようなところもある。

「発言するから偉いとも思ってません。でも音楽だけやればいいとも思わない。普通の人が口出すのが民主主義でしょ。職業に関係なく誰もが声を出せる社会じゃないとダメだと思うんです」。

ランシエール的な民主主義観。
坂本龍一の音楽は、何かを語っているのだろうか。
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