だいき

旅猫リポートのだいきのレビュー・感想・評価

旅猫リポート(2018年製作の映画)
2.2
2018年公開映画137本目。

犬派です。

原作ありきのため、猫が言語を理解し言葉を発するという基本設定があるのは仕方無い。
問題なのは、その設定を映画として描く上で昇華し切れていないこと。
そこにナナ(猫)がいるだけで成立している場面がいくつもあったのに、流暢に喋り出すため崩れてしまう。
実際にナナが発している声よりもバカでかい音量で聞こえてくる高畑充希の声も喧しい。
他の猫の声を声優の沢城みゆきが演じているのだが、これがまた良い声と仕草のアンマッチが発生しており、違和感の極み。
リアリティとファンタジーの調和が取れていなかった。

猫とのロードムービーは、親友との最後の別れのひと時になるのだが、死生観がまるでないのは如何なものか。
主人公が死生観を見せないようにすることとは別の問題で、笑顔と裏腹な隠れた悲哀を描写が不足している。
それ以前に、謎解きの含みが感じられず中途半端に。
猫に深くて大きな愛情を注ぐことは、幼少期のトラウマによる反動かと思いきや、育ての両親からたっぷりと愛情を注がれている。
最初から猫に対する異常な愛情は疑問で、捨て猫を自分と見立てて、本能的なことに集約することはその時点では辻褄が合わないし、説得力も無いのが残念。

切り口は興味深く、時折猫の演出に感心することもあるが、猫と福士蒼汰の仲睦まじさがイマイチ伝わってこない。
不幸のてんこ盛りは原作からだと思うが、映画だとキャパオーバーで少し詰め込み過ぎのようにも感じる。
登場人物、猫、犬の全てが、物分かりが良過ぎる異質な違和感や、猫や犬のアテレコはどうしても気になり続ける。
映画としては非常に物足りず、もうひと工夫してくれれば、ペットを飼っていない人にも感情移入させることができたのでは。
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