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ファースト・マンのsushiのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
3.4
デイミアンチャゼルの作品では今のところ一番好き。
いわゆるセカイ系の話だけど、奥さんからの視点(夫が何を考えているのかわからない)がちゃんとドラマに組み込まれているので、ラ・ラ・ランドやセッションよりも大人の話になっている。彼女の視点と主人公の口数が少ないという描写によって、観客が彼に対して感情移入しすぎず、客観的に見れるようになっている。(そもそも、私たちは現に地球にいるのだから月に立つ彼と大きな隔たりがある。)
地球=家(妻や息子たち)=生、大気の層=ガラス(窓)=生と死を隔てる、月(宇宙)=死という図式。娘の手術シーンでアームストロング夫妻はガラス越しに娘を見ていて、すでに娘があちら側の世界に片足を踏み込んでいるのを示唆していた。そして、ラストでは主人公もあの世へ行き、こちら側へ帰ってるくるか来ないか曖昧にしながら終わる。(たぶん帰ってこないのだろう)
主人公は娘にひかれて死の世界に向かうのだけれど、訓練シーンやロケットに乗り込むシーンはホラー映画みたいな雰囲気があり、あちら側へ進むのがいかに恐ろしいのかを演出で表現している。
ライアンゴズリングはやっぱりドライヴやブレードランナー2049、オンリーゴッドのような心に傷を負った寡黙なキャラがよく似合う。
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