TakamaruSuzuki

ファースト・マンのTakamaruSuzukiのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
酷評レビュー多いけど素晴らしい作品だと思います。人の内面、人間性に迫ろうとする態度が猛烈。あえて解像度の異なるフィルムを使い分け、60年代のレトロ感と宇宙空間のクリアなコントラストを生み出していたりとか、CGに頼らず特撮の手法を多用することでよりリアルに近付けていたりとか、ニールがなかなか表に出さない内的緊張感を、ドップラー効果で演出するためにわざと録音音源をレスリースピーカーで録音し直していたりとか、もはや畏れすら感じるこだわりよう。

実際ニール・アームストロングその人は本作同様感情をあまり表に出さない人だったそうですが、前述のような撮影技法やライアン・ゴズリングの好演によって、彼の内面性ー家族への愛、抱えている傷、仲間に対する友情、職業人としてのプロフェッショナリズムなどーがスクリーンにしみ出していた。そう、「しみ出す」という表現がとてもしっくりくる。スターウォーズのように「ドバーっと溢れ出す」ような劇的な盛り上がりはなくとも、じんわり広がる感動がある。

デミアン=チャゼルという監督は、題材問わず人の生き様やその裏にある思想を主題として極めて重要視していますよね。主題を緻密かつ大胆に表現する手腕も含めて改めて稀有で、大好きな監督だなと再確認しました。
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