人類初の月面着陸。その地に立ったファーストマン。
ニール・アームストロング
「人間にとって小さな一歩だが、人類にとって大きな飛躍である。」
訓練の過酷さ、失敗の連続、死と隣り合わせ
月がとても遠く感じ、月面着陸がとてつもなく偉大なことであったことが分かる。
特に訓練が失敗した後に見えた昼の月にその距離を感じた。
ニールの主観を軸に置き、映像や物語が作られていた。
特に妻や家族とのやり取りが印象に残っている。
息子に話をするよう感情を表に出す妻、
息子(兄)がニールを見つめる眼差し、
ガラス越しに妻と無言で手を合わせるラストシーン。
とても切ないシーンだった。
娘の死も1つのターニングポイントだ。
テストパイロットから宇宙飛行士へ。
月で見せた行動。
意味ある行動は娘の死がもたらしたものであった。
音の演出も素晴らしい。
機体の軋む音が恐怖感を与え、宇宙の無音が浮遊感を感じさせる。
その緩急が宇宙という異世界を際立たせていた。
地球と月との距離が
家族を含む他者との距離
あるいは
生者と死者とを隔てる距離のメタファーとして描かれている
という宇多丸さんの意見に大きく共感した。
宇宙というものだけではなく、物語として他者性を扱った作品だというところに素晴らしさを感じた。