月を目指すパイロット本人の葛藤や、その家族の心情、税金を払う民衆、関係者、それぞれの立場や状況が違う中、色々な事が起こりながら、頭がイカれてもおかしくない現実を前に、それでもなんとか冷静さを保ち、淡々と前に進む不器用な男の姿が、重苦しい演出により、凄くリアルに映しだされている。
確かに、現実にもし自分が当事者だったら、この映画の雰囲気と同じだろう。死ぬかもしれないんだよ、かなりの確率で。
そういう、ロマンとかだけじゃなくて、光と影、生と死、両方を上手く表現するあたりが良いよね。まさにそういうことだもんね。
細部に渡っても、リアルな描写で、月に向かうロケットの中はこんな感じなんだ、と想像させてくれる。
そして、初めて人類が月に降り立ったあの一歩。
沢山の人の犠牲の上で成り立つ、重く、重く、そして言葉に表しきれない感動の一歩。
宇宙への好奇心は、人類のサガ。