そめ

Nu(原題)のそめのレビュー・感想・評価

Nu(原題)(2003年製作の映画)
4.0
「愛」が分からない男の話。だと私は感じた。この作品のキーは水。水は愛。あるけれど形はなく、掴んでも指からこぼれていくのに、溺れれば死ぬ。主人公は女に愛を感じ、本能のまま、というか無知なまま求めていく。女は既知、というか「知っている人」で、それは結婚という形とか、子供という愛の結晶、家族、という形で、主人公に愛を求める。けれど男は分からない。結婚の後に愛(水)に沈もうとする女を引き留めたのは、無知ゆえの恐怖からか。それでも愛の結晶として、子供ができる。主人公に子供の存在はない。見えない、と言った方が近いのか。自分の子なのに、あのたどたどしさ。自分が愛したのは女なのに、と戸惑う。女は、子供への愛を夫となるべく男に求める。けれど男には、子供は「理解できない何か」として映る。男には愛が分からない。

「愛」とは?男が次に求めたのは、別の愛。別の相手。それが男だった。分からないままだけれど、求めれば、半ば強引に口付けされたように、相手には執着が生まれる。男同士で子供ができる世界ではないから、主人公はそのまま老いてゆく。けれど最後の最後に、「愛」が分かったのか(私はまだ一回しか見ていない。あまり深くは考えていないから、それは分からないけれど)、枕元に立った女に、言葉で伝えようとする。言葉、は感情。つまり愛。だとして、やっと主人公が話そうとする。(この映画に台詞はない)けれどもう遅い。主人公は女に口を押さえられ、感情を紡げないまま、愛を伝えられないまま、臨終となる。…っていう話?だと考えたけど。どうかな…。

マッツのキスシーンは心の健康にいいので、みんな見てください。
そめ

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