妄想と現実の間をいったりきたり、もはや境目もわからないまま、この年齢まで。こじらせ、って簡単に片付けられればそれまでなんだろうけど、透明でも、誰の目にも見えていなくても、現実は進んでいくのです。
記憶の中の、イチは、美化されてピカピカに磨かれすぎてもはや架空の人物で、もう現実にいない人を好きになっていて、誰もその人を越えられなくて、そしてそこにさらに現実のうまくいかなさが、どんどん積み重なっていって、さらに過去が、イチが磨かれていくっていう無限ループ。
名前、なんだっけ、って言われたあとのさらなるハチャメチャさが、空気感が、好きでした。
そして終始色々な小ネタが散りばめられすぎて、一人で見にきてる人多かったけど、映画館にたくさん笑いが起きてて幸せな空間でした。
松岡茉優ちゃん可愛すぎて、くるくる変わる喜怒哀楽が素晴らしかった。
"でも私はイチがよかった。二なんていらない、イチが欲しかった。私のお星さまは、イチ。最後まで食べずに残しておいたお皿の上のイチゴ。でもいま手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。"
原作の、好きな文だったけど、映画の中ではちょっとニュアンス違ったかな。また、それもいい。