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勝手にふるえてろのmayaのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
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綿谷りさの小説が好きで、本作も7年前、発売と同時に読んでいた。まさか映画化されるとは…とよくありがちな原作ファンの不安感を覚えたが、良いじゃない… これ良いよ。最後の最後で年間ベストに食い込んできた気がする。
ということで、久々に文章で感想を残す気になった一本だった。観た後に私的な感情が沸々と湧いてきてしまい、時間が経ってしまったけどこの気持ちをどこかに残しておきたく。文章力乏しく、稚拙な言葉しか紡ぎ出せないけど、良いもん、こんなの自己満足。

まず、綿谷りさの小説において人間の感情の表現が素晴らしいのは言わずもがな(私的見解)。映画化するにあたって、その秀逸な言葉の数々をどう表すのか?と不安と期待が入り混じりながら劇場へ。そしてあの活字から伝わる絶妙な空気感を、エッジの効いた台詞回しでうまい具合に昇華させていた主演女優・松岡茉優にノックアウトされるのでした。松岡茉優、恐ろしい子…!
笑って笑って、でもなんか泣きたくなる。痛々しさに胸がきゅーーっとなり、自分の心の声を重ね、最後の一瞬で「二」に恋をする。「綿谷りさの作品ならではの痛みも、突飛さも、もどかしさも、開放感も、形を変えて襲いかかってくるよ」という朝井リョウの言葉の通りで、映画作品だからこそ観る者にビシバシと伝わってきたものもあって。最後にはヨシカの不器用さも面倒くささも全て受けとてめて、抱きしめてあげたい…という気持ちに。一見狂ったような行動も、止まらず溢れ出る燻ったような言葉たちも、全部まとめて愛したい。人間らしさ全開で素直に感情を吐露する彼女、最高じゃない。「拗らせ女子」で片付けないで。

…とまあ色々書き始めたけど、段々映画のレビューでもなんでもなくなってしまった。「二」、もとい「霧島くん」(小説同様名前の出し方もポイント)のうざったさに匹敵する書き方をしたものの、年の瀬に思わぬオフビートな佳作に出逢えたものだから勢いに任せて気持ちを保存。良き映画納めでした。
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