よるこ

勝手にふるえてろのよるこのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.9
経理OLのヨシカは中学の時の同級生イチを、視界の端でしか見つめることが出来なかった王子様を、10年反芻しながら思い続けていた。
ある日、会社の飲み会で二に告白される。
二こと霧島はヨシカと付き合いたくて、同期に飲み会を開いてもらい、無理やり写真を撮ってLINEを聞いてきた。

告白されたことに舞い上がるけれど、なんとも思わない相手とデートを重ねる中でもイチへの気持ちは、現実ではないイチへの気持ちは自分の中で一番で。
そんなある日、うっかりボヤを起こし、死ぬ前に今のイチに会いたいと思ったヨシカは、二の手法を真似して、海外に転校した同級生になりすまして同窓会を開き、同じ東京にいるイチと東京での同窓会にこぎつけ、思い出話をし、まるで自分と話してるみたい、君と友達になりたかったと言われるが、イチが自分の名前を覚えていなかったことに絶望する。

それからなんとなく二といることが自然に思え、付き合うことにするが、友人のクルミだけに打ち明けた誰とも付き合ったことがない、自分にはとても人に知られたくなかったことを二にバラされたことが分かり、イチのことを虚実ないまぜにつきつけ、衝動的に妊娠していると嘘をつき会社を辞める。
ラストは初めて二とぶつかり合い、それでも好きだと言う二と抱き合う。

ヨシカが本当はしたいけど、出来なくて、どうしようもなく孤独なこと、奇跡みたいな繋がりに浮き上がるも相手が自分を一ミリも興味がなかったことを知ってしまう辛さ、抉られる映画だった。
でもまるでミュージカルのように周囲がヨシカに優しい妄想の会話のシーンは楽しい。
思い切って、イチに会おうと思えたのはボヤでの死の危機もあるだろうけど、自分を好きだと言ってくれた二の存在があるからなんだろうな。
ヨシカのことが愛おしくなった。
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