のるこ

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書ののるこのレビュー・感想・評価

4.2
試写会に参加させていただきました。正直アメリカの歴史については勉強不足なのですが、そんな私のような人こそ観るべきなんじゃないかなあと感じます。トム・ハンクスの喋りの演技、メリル・ストリープの少女のような透明感がありつつも人物の背景を映し出す演技、記者達の記事作成時の息もつかせぬ台詞の掛け合い……などなど、言うまでもないですが個々の演技のクオリティが高い。役者の演技がストーリーに厚みを持たせ、何層にもなってます。つまり、歴史に詳しい人は勿論詳しくない人でも自分なりのストーリーを見い出せると思うのです。加えて、分かりやすくて面白い。そして何より、現在の日本は某文書についての話で持ちきりです。そんな今だからこそ、観るべき映画かもしれません。

ここからはメリル・ストリープ演じるキャサリン・グラハムについて。序盤、ある会社役員にしつこく口出しされる彼女と彼女の部下でありなから強気なベン・ブラッドリーは対照的に描かれています。そこからに中盤かけて、一見正反対にも思える二人の間にある信頼と尊敬が徐々に見えてきます。そしてクライマックス。会社役員を説得してリスクを犯しながらも、彼女は強く強く"掲載する"との意見を突き通したのです。ああ、メリル・ストリープがこの役を演じる意味がここにあったんだなあと思える貫禄。流石でした。
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