まりてぃ

アネットのまりてぃのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
3.7
夜と疾走バイクに広い後部座席、スパークスのMVとしても使えそうな長回しオープニングはホーリーモーターズでも見られた行進。MeToo運動なども取り入れつつカラックスにしか撮れないエンタメショー。アルバムのイントロ・アウトロのような構成はショーイベントの開幕と閉幕。ミュージカルと言ってもダンスではなく音楽に主軸が置かれておりいかにも彼らしい。長いが遅くはない。やっぱ映画作るの上手いぜ!

本作に限らないがアダム・ドライバーのチートフィジカル、相変わらず強すぎる。異質なほどの存在感に彼が画面に現れるだけで無条件にワクワクしてしまう。アフタートークでも話していたが、カラックスにとっても撮りたくなる俳優らしい。これほど映画に愛される俳優って他にいるだろうか。ドニ・ラヴァンで実践した一部をアダム・ドライバーに託したように見えたのはその特異な(全身の)身体性故かと思っていたがカラックス曰く彼らの共通項は「顔」であり、幼少期から猿が好きで2人とも猿顔だから惹かれるらしい。(ほんとか?)

安直に親子愛を獲得させずほつれたまま迎える結末、 「おれを見るな!」マリオネットはもういない。永続的で保証された愛などない。
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