ひよこまめ

アネットのひよこまめのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
4.5
ミュージカル好きとしての感想。
形式としてのミュージカルではなく、表現としてのミュージカルの可能性を広げてくれた映画だとちょっと興奮した。
セリフを歌で、ではなく歌がそのままセリフ、というか。
聴かせるための歌、ではなく、空気のようにある歌、というか。
そういう表現だからこそミュージカルにできた世界観だと思うし。

観客のコーラスにドキドキ。私もあの中に入りたい!😳💓なんて思っちゃって、ぜったい不可能だろうけど、客席にコーラスを紛らせて舞台化してくれないかな、そしたらリピートするうちに自分もコーラスの一人になれるよね、なんて夢想してしまったり。

もちろん映画好きとしても、こういうミュージカル映画をもっと見たいと思った。
美しいばかりではない、人間のドロドロに臭い部分を美化することなくそのまま、ミュージカルで。

アンの歌の美しさもさることながら、ベイビー・アネットの公演のシーンが凄かった。背徳感と背中合わせの快感、とでもいうか。
アダム・ドライバーはすごいね。
ここ数ヵ月で何人ものアダム・ドライバーを観たけど、そこからは想像できないアダムだった。
あの、全然笑えないコメディショーは、もちろんヘンリーのコメディとしての演技だよね?
終始表情がほとんど変わらなくて本心が見えない人物だなーと思いながら観てたけど、最後にアネットにかけた言葉は、これがヘンリーの真実なんだろうと思えた。

すべての曲について、もっともっと聴きたかったというフラストレーションが残ったので、☆-0.5。
早く配信されてほしい。家で思う存分、繰り返し見たいと思う。
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