しんどい………………
1967年に勃発したデトロイト暴動。その真っ只中で起きた3人の黒人少年射殺事件の様子を、生き残った当事者たちの記憶や証言を基にドキュメンタリー調にまとめた。
見どころはなんといってもウィル・ポールター演じる差別主義者の警官が黒人たちを尋問するシーン。なんと40分もあるらしい。
信じられないような理不尽で、いとも簡単に命が奪われる。次は自分が死ぬかもしれない、どうして黒人というだけで彼らは銃を向けるんだ、不条理だ、怖い、憎い、憎い…………
憎しみ、怒り、恐怖、嘆き。これらの感情が激しく、グロテスクに渦巻いて吹き出す様を強烈に焼き付けられる。
たった今この瞬間に命が奪われるかもしれない。それも、肌の色が違うという理由だけで。
デトロイトの黒人たちに働かれる仕打ちは容赦なく、限界に達した憎しみは暴動とともに吹き出す。
ものすごくしんどい映画だけど、事件に巻き込まれたザ・ドラマティックスのメンバーが歌う歌が胸を打つ。けれども、中心的なシンガーだった少年は、白人のダンスのために歌い続けることを受け入れられなくなる。1人の若者の夢が、差別による憎悪と悲哀で潰えてしまったのがものすごく現実的だった。自分が白人にされた仕打ちを思い出す度に、彼は愛を信じられなくなっていくんだろうな。
いろんな人が見られるようなマイルドな仕上り。もちろんかなりのヘビーさではあるが。
