maya

デトロイトのmayaのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.3
アカデミー賞最有力!と謳われてノミネートすらしなかった本作。個人的な期待度は非常に高かったので、早く観たくて仕方がなかった。
褒め言葉としての『不愉快極まりない』映画。時代、ストーリーの方向性はは違うものの、アメリカンヒストリーXを観た時に匹敵する息苦しさ、遣る瀬無さ。ウィル・ポールターには賞をあげるべきだと思うんだけど。もう顔を見るだけで怒りが沸々と湧いてくるもん。素晴らしい役者。
事件の被害者3人の証言を基に映像化したということもあり、変に映画特有のやりすぎ感や無駄なシーンがあったら嫌だな…と懸念していたが、杞憂だった。まるで自分もその場にいて、この戦慄の一夜を目撃しているような感覚に陥いるほどの臨場感。トレーラーでも何度も聞いたジョン・ボイエガの"I need you to survive the night."という台詞が頭の中で反芻される。思わず息を止め、身体が震えそうになる程の恐怖心を感じた約40分間の拷問シーンは、目を背けたい気持ちを抑え、必死で画面に食らいついていた。

今、この時代にこの作品を世に出したキャスリン・ビグローには拍手を贈りたい。トランプ政権発足以降レイシズムが過激化する中で、警鐘を鳴らす映画の一つとなったのでは。こういう作品を観る事ができるから映画をもっと観たい、色々な事を知りたいという欲求に駆られる。賛否両論あると思うけど、作る側も出演者も相当な覚悟を持って挑んだ作品のはず。その思いが沢山の人に届きますように。
maya

maya