しじょ

ラウンダーズのしじょのレビュー・感想・評価

ラウンダーズ(1998年製作の映画)
4.3
ポーカープレイヤー(ないしギャンブルで浮いている人間)からすると、
この映画の重要なポイントは凄腕プロであるジョーイキネッシュと主人公の会話です。
「俺は生活のためにポーカーをやってる。勇気と無謀は違う。」
気がはやり焦る主人公に対しても、多くの観客としてのプレイヤーにも響く名シーンです。
ギャンブルの世界ではこの言葉が全てであり、
主人公は短期的な計算には突出していても、
長期的な戦略(資金管理)には長けていない。
よって彼はほぼ間違いなくラスベガスで一度破産するし、シナリオもそういう意図を持って書かれていると思います。
ポーカーの魔力に取り憑かれた人間を描くにはそういう終わり方しかない訳で、とても誠実な映画です。
最後、魔力に支配された主人公には反対意見が聞こえません。この点が、ギャンブルの枠を超えて「抗えない魔力を持つ何かに魅入られた人間」の共感を得る作りとなっており、映画に昇華される瞬間が垣間見えます。
名作です。
しじょ

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